「気合いがあればなんとかなる」は通用しなかった
元陸上自衛隊からITエンジニアに転職した。
自衛隊では「命令に従い、確実に実行する」ことが求められた。ITの現場も同じだと思っていた。
違った。
最初の1年で、今でも冷や汗が出る失敗を3つした。
やらかし①:本番サーバでrm -rfを実行しそうになった
2年目のある夜勤中、不要なログファイルを削除する作業をしていた。
テスト環境での作業のはずだった。
コマンドを入力しようとした瞬間、「待てよ」と思ってホスト名を確認した。
本番サーバだった。
あと0.5秒でEnterを押していたら、数百GBのログが本番環境から消えていた。バックアップ復旧には数時間かかる。その間、サービスが止まる。
IT現場の最大のリスクは「コマンドの取り消しが効かない」ことだ。
学んだこと:
- 作業前にホスト名・環境を3回確認する
- 本番作業は必ずペアで実施する
- 本番環境のターミナルを赤いプロンプトに設定する(視覚的な区別)
「気をつける」では防げない。仕組みで防ぐ。
やらかし②:手順書を「正解」だと信じすぎた
配属2ヶ月目、定期メンテナンスを手順書通りに実施した。
完了確認もした。アプリが起動していることも確認した。
翌朝、お客さんから連絡が来た。
「特定の機能が動かない」
調べたら、手順書に「再起動後にキャッシュクリアが必要」という手順が抜けていた。前担当者が環境変更を手順書に反映し忘れていた。
障害時間4時間。お客さんへの説明対応半日。
手順書は「誰かが書いた過去の記録」だ。現在が正確かどうかは確認する必要がある。
学んだこと:
- 手順書の「最終更新日」と「作成者」を必ず確認する
- 直近の環境変更が手順書に反映されているか確認する
- 「この手順を実行したら何が起きるか」を理解してから実行する
やらかし③:「わかりました」と言い続けて3ヶ月後に詰められた
異業種出身だったため、IT用語が全然わからなかった。
「NICのactive-backupボンディング構成」「LVSのVIPに対するヘルスチェック閾値」——なんとなくわかったふりをして「わかりました」と言い続けた。
3ヶ月後、上司に確認された。
答えられなかった。
「わかりました」は、IT現場で最も危険な言葉かもしれない。
理解していない状態で作業すると、判断ミスが起きる。判断ミスが本番環境で起きると、障害になる。
学んだこと:
- 「どの部分がわからないか」を明確にしてから聞く
- 「Aはわかりました。BとCの関係がわかりません」という聞き方をする
- その日中に理解できなかった用語は帰宅後に調べてメモする
自衛隊文化とIT現場文化の違い
自衛隊は「命令に従う」文化だ。IT現場は「根拠を確認して判断する」文化だ。
「上が言ったからやる」姿勢でIT現場に臨むと、
- 手順書の矛盾に気づかず実行して障害を起こす
- 上司の指示の意図がわからないまま作業してミスる
この文化の違いに慣れるのに、自分は1年以上かかった。
焦る必要はない。ただし「なぜ?」と問い続ける習慣を意識的に作ることが必要だ。
1年目に必要なのは「確認する習慣」だけ
3つのやらかしを振り返ると、全部に共通することがある。
「自分が知らないことを知らなかった」
rm -rfの危険性を知っていれば確認した。手順書の古さを意識していれば確認した。わかったふりのリスクを知っていれば確認した。
IT現場の1年目に必要なのは、知識よりも**「確認する習慣」**だ。
転職・キャリアの体験はnoteで詳しく書いています。