「AIで仕事がなくなる」は言いすぎだと思う
「エンジニアの仕事はAIに奪われる」という話は何度も見た。
インフラSEの自分が実際に使ってみた感想を先に言うと:一部の作業は劇的に速くなったが、現場の仕事の大部分は変わっていない。
変わったところと変わらなかったところを、正直に書く。
AIツールで変わったこと
①ドキュメント作成が速くなった
手順書・設計書・議事録。これらの作成時間が体感で半分以下になった。
たとえば移行手順書を書くとき、これまでは「構成を考える→書く→見直す」というフローに2〜3時間かかっていた。
今は「構成のたたき台を作って」とAIに出してもらい、そこに実際の環境固有の情報を加える。そのほうが速い。
**ポイントは「AIに最初から書かせない」こと。**たたき台を出させて、自分が加筆する。このやり方が一番効率がいい。
②調べ物が速くなった
コマンドのオプションを確認したいとき・エラーメッセージの意味を調べたいとき、検索より速く答えが得られるようになった。
「RHEL8でsystemctlのログを過去30日分絞り込んで確認するコマンド教えて」と聞けば、即答が返ってくる。
Googleで検索すると、複数ページを読んで必要な情報を探す手間がある。AIに直接聞く方が速い。ただし、情報が古い場合や間違っている場合があるので、本番作業の前は必ず公式ドキュメントで確認する。
③コードが書けるようになった
インフラSEはプログラミングが本業ではない。でも業務でシェルスクリプトやPowerShellを書く場面は多い。
以前はシェルスクリプトを書くたびに「こう書いてよかったっけ」と確認しながら進めていた。今はAIに「〇〇するシェルスクリプトを書いて」と頼んで、動作確認してから使う。
このブログ自体も、Claude Codeを使って自分でゼロから作った。フロントエンドの経験がほぼないのに、1日で公開できた。
AIツールで変わらなかったこと
①現場固有の判断
本番環境に触れるとき、「このコマンドを実行していいか」の判断はAIにはできない。
- このサーバーは何に使われているか
- ここで作業すると何に影響するか
- この変更をいつ実施するのが安全か
こういう判断は、現場のコンテキストを持っている人間にしかできない。AIに「この手順で問題ないか確認して」と聞いても、環境固有の情報がないと的外れな答えが返ってくる。
②顧客との交渉・合意形成
エンドユーザーや顧客との打ち合わせ、要件の擦り合わせ、障害時の説明。これはAIには代替できない。
むしろ、AI活用が進んだ結果として「その場の判断・説明・交渉できる人間の価値が上がっている」と感じる。
③責任を持って動く、という部分
「この設計で問題ないか」の責任は、最終的に自分が持つ。AIの出力はあくまで参考情報だ。
設計書や手順書を「AIに書かせたもの」としてそのまま提出すると、レビューで指摘されたときに対応できない。自分の言葉で説明できる内容だけを書くのが鉄則だ。
実際に使っているAIツール
Claude(claude.ai / Claude Code)
- ドキュメント作成・コード生成・コード修正
- Claude Codeはターミナルで使えるため、コードを直接編集してくれる
ChatGPT
- 調べ物・情報整理
- ブレインストーミング
GitHub Copilot
- コーディング中の補完
- インフラSEとしての使用頻度は低め
インフラSEがAI活用で意識していること
「AIに任せる」と「AIを使う」は違う。
任せると、自分がブラックボックスになる。AIが何かを間違えても気づけない。使うは、自分が考えた結果をAIで補強する感覚。こちらの方が仕事の質が落ちない。
インフラの仕事では、ミスが本番障害に直結する。AIの出力を自分でレビューできないなら、その出力は使えないと思っておく方がいい。
まとめ
AIツールがインフラSEの仕事を変えた点:
- ドキュメント作成が速くなった(たたき台を出させて加筆するスタイル)
- 調べ物が速くなった(ただし本番前は公式確認)
- コードが書けるようになった(フロントエンドまで手を出せるようになった)
変わっていない点:
- 現場固有の判断は人間にしかできない
- 顧客との交渉・合意形成は変わらない
- 責任を持って動く部分はAIに渡せない
インフラSEとしての専門性はそのまま使いながら、AIで補強できる部分を補強する。そのバランス感が大事だと感じている。