知らないと損をする、という話
フリーランスSEになった当初、自分の単価が高いのか低いのか、まったくわからなかった。
「この金額で」と言われたら、それが相場なのか、低く見られているのか、確かめる手段がなかった。聞ける人もいなかった。現場のフリーランスに「単価いくら?」と聞いても、まず教えてもらえない。当然だ。
そのまま数年動き続けて、じわじわと気づいていった。
損してたこと①:相場を知らなかった
「案件が取れる」と「適正単価で働けている」は、まったく別の話だ。
需要がある業界でも、相場を知らなければ低い単価で動き続けてしまう。自分がそうだった。「仕事があるだけでありがたい」という感覚が、単価への意識を薄くしていた。
フリーランスSEの単価に影響する主な要素
| 要素 | 単価への影響 | |---|---| | 担当工程 | 保守運用(低)〜PM・基本設計(高) | | 商流 | 直請け(高)〜3次以降(低) | | スキル | Java/React/Go等は加算評価 | | 経験年数 | 年数に応じた倍率がかかる |
自分がどの工程を担当していて・どの商流で動いていて・どんなスキルがあるかを整理すると、おおよその市場単価の目安がわかる。
相場を知るための第一歩として、SE単価シミュレーターを作った。
スキルシートの情報を入力するだけで、市場単価の目安が出る。
損してたこと②:単価交渉は年1回できると知らなかった
最初の現場で単価が決まったとき、「この金額がずっと続くんだ」と思っていた。交渉するという発想が、最初はなかった。
実際は違う。
フリーランスのスキルが上がれば、交渉できる。年1回の更新タイミングで「来期から〇〇万円でお願いしたい」と動くのは、普通のことだ。でも自分から動かなければ、何年経っても最初の金額のまま。
これを知ったのは、フリーランスになって数年後だった。
交渉で使える根拠
交渉するときに「上げてください」だけでは通りにくい。根拠が必要だ。
- 現場での実績(〇〇のフェーズを主担当した等)
- スキルの追加(資格取得・新技術の経験等)
- 市場単価との比較(シミュレーターの結果等)
数字の根拠があると、交渉しやすくなる。
損してたこと③:消費税はもらっていいと知らなかった
これは本当に知らなかった。
フリーランス当初、請求書を書くときに消費税の欄を設けていなかった。知り合いの営業から「消費税もらってないの?もらっていいんだよ」と指摘されて、初めて気づいた。
消費税の計算例
月単価50万円の場合、消費税(10%)は5万円。
月の請求額:50万円(本体)+ 5万円(消費税)= 55万円
(うち源泉徴収10.21%:約50,000円が引かれて振り込まれる)
年間で計算すると、消費税だけで60万円。数年分を振り返ると、相当な金額を受け取っていなかった計算になる。
消費税を請求書に記載するのは権利だ(課税事業者・インボイス登録事業者の場合)。最初から正しく請求書を作る必要がある。
+α:源泉徴収も最初は混乱した
消費税と似た話で、源泉所得税の扱いも最初は混乱した。
エージェント経由の案件では、請求金額から10.21%の源泉所得税が引かれて振り込まれる。
月単価60万円の場合:
60万円 × 10.21% = 約61,260円が源泉徴収
振り込まれる金額:約538,740円
「差し引かれた」というより、「代わりに納付してもらった税金」だ。確定申告で一年分の税額を計算するときに、すでに納付済みの源泉徴収税額を差し引いた差額が追加納税(または還付)になる。
知識があれば動き方が変わる
相場・交渉・消費税・源泉徴収。この4つを最初から知っていれば、フリーランスとしての動き方は変わっていた。
「知らなかっただけで損をしている」という状態は、意外と長く続く。誰かが教えてくれるわけではないから、自分で調べるしかない。
今、単価が上がらないと感じているフリーランスSEがいれば、まず自分の市場価値を数字で確認してほしい。
単価を上げるための具体的な動き方
①担当工程を上げる
保守運用から設計へ。設計から上流(要件定義・PM)へ。担当工程が上がるほど単価の目安が上がる。
小さくても「設計書を書く機会」を積み重ねていく。
②商流を改善する
3次以降で動いているなら、2次・直請けの案件を探す。同じスキルでも商流が変わるだけで単価が上がる。
エージェントを複数使って、比較する。
③スキルを市場価値の高いものに絞って磨く
Java・React・Go・クラウド系の技術は市場価値が高い傾向がある。インフラSEなら、クラウド(AWS/Azure)経験が加算評価されやすい。
まとめ
フリーランスSEになって損してたこと3つ:
- 相場を知らなかった(シミュレーターで数字を確認する)
- 単価交渉は年1回できることを知らなかった(根拠を持って動く)
- 消費税はもらっていいことを知らなかった(請求書に正しく記載する)
知識は「調べた人だけが得をする」。フリーランスとして動き続けるなら、継続的にインプットしていくことが大事だ。
詳しい話はnoteにも書いている。