案件選びは「単価だけ」で決めると失敗する
フリーランスSEになった当初、案件を選ぶ基準は単純だった。「単価が高い方」「すぐ入れる方」。それだけだった。
しばらく続けてみてわかった。単価だけで選ぶと、スキルが伸びない案件に長居してしまうことがある。逆に、単価が低くても次につながる経験を積める案件もある。
今は3つの軸で考えるようにしている。
基準①:スキルが積み上がるか
案件を選ぶときに最初に見るのは「このプロジェクトで何を経験できるか」だ。
フリーランスSEは本質的にスキルを売る仕事だ。スキルが停滞すると、3年後・5年後の単価が上がらなくなる。
自分が意識しているのは:
- 設計〜構築の一気通貫で入れるか。保守運用だけの案件は単価が上がりにくい
- 新しい技術に触れられるか。Linuxなら最新のRHEL系、Windowsなら最新のServer OSが使われているか
- ドキュメントを書く機会があるか。設計書・手順書・移行計画書を書く経験が上流案件につながる
逆に避けるようにしているのは、何年も同じ作業の繰り返しになる案件だ。単価が高くても、そこに長居するとキャリアが止まる。
基準②:商流と実態が見えるか
商流(直請け・2次・3次以降)は単価に直結するが、それだけではない。
直請け
- 単価が高くなりやすい
- エンドユーザーと直接やりとりできるため、要件や背景がつかみやすい
- 自分の動きが評価に直結しやすい
2次請け
- 単価はやや低くなる傾向がある
- 元請けとエンドユーザーの間に入るため、情報が加工されて届くことがある
- ただし、ちゃんとしたPMがいる案件は進めやすいことが多い
3次以降
- 単価が低く、スキル習得機会も限られやすい
- 指示が多重に伝わるため、仕様変更の際にドタバタしやすい
商流の問題は「3次でも中身が良い案件」もあるし「直請けでも実態はひどい案件」もあることだ。そのため商流だけでなく「誰が発注主か」「プロジェクトの体制はどうか」も確認する。
基準③:自分の単価が市場とずれていないか
3つ目は客観的な数字の確認だ。
「この単価で受けていいのか」を判断するためには、市場の相場を知る必要がある。フリーランスSEの市場単価は担当工程・スキル・商流・経験年数で変わる。
自分の推定単価を確認するために、シミュレーターを作った。
スキルシートに書いてある情報を入力するだけで、市場単価の目安と単価アップへのアドバイスが出る。
「自分は70万で入っているけど市場的には80万が相場」とわかれば、次の更新タイミングで交渉できる。数字の根拠があると動きやすい。
3つの基準を使う順番
具体的にどう使うかというと、こういう流れだ。
- 案件の概要が来る(営業からメール・エージェントからの連絡)
- スキル要件を見る(自分が成長できる要素があるか)
- 商流と体制を確認する(直請け・2次・PMの有無)
- 単価を確認してシミュレーターと比較する
- 3つ全部で問題なければ面談へ進む
1つでも「これは違う」と感じたらパスする。特に初期の「なんか違う感」はたいてい正しい。
よくある失敗
単価交渉をせずに更新していた
最初の現場で単価が決まったとき「これがずっと続く」と思っていた。でも実際は、年1回の更新タイミングで交渉できる。
経験が積み上がっているなら「来期から〇〇万円でお願いしたい」と動いていい。言わなければそのまま。言えば通る可能性がある。
「スキル的に余裕だから単価が高い案件」を優先しすぎた
慣れた技術だけを使う案件は楽だが、スキルが伸びない。3〜4年経って「自分はこの技術しか使えない」という状態になると、案件の選択肢が狭くなる。
快適すぎる案件には要注意だ。
まとめ
フリーランスSEが案件を選ぶ3つの基準:
- スキルが積み上がるか(上流経験・新技術・ドキュメント作成)
- 商流と実態が見えるか(直請け〜2次が理想・体制確認)
- 単価が市場と合っているか(シミュレーターで客観的に確認)
この3つを毎回確認してから動くようにしたら、入った後に「やっぱり違った」となることがほぼなくなった。
案件選びは最初の30秒じゃなく、3つの軸で整理してから決める。